旅行が好きです。とくにロンドンは毎年訪れる第二のホームタウン。旅行での楽しみは、違う国の人の日常生活を観察したり、その街の時間の流れ方を身をもって体験すること。観光スポットよりもその土地の美術館や本屋、蚤の市に出向きます。ブラブラと一日中散歩して、その時の出来事に身をまかせるという行為が、私にとって年に一度の一番の贅沢。

イギリス好きは母の影響です。幼少の頃から「音楽でもデザインでも、いいものは全部イギリスのもの」と刷り込まれて育ち、留学経験からも、東京にいるよりも居心地の良い場所として私の中で本当に特別な場所です。どんなに動揺するような事が起こっても、「大丈夫？紅茶入れる？」の一言に、何度も救われました。決して寄り添いすぎず、一定の距離感を持って人と接する文化は、現実的な賢さと自立心を重視する国民性からなるもの。賛否ありますが、私にはとても合っています。

趣味は考える事。物事の根源からはっきりさせたい性格。日々自身の好奇心の処理で頭がいっぱい。今熱いのは時間の仕組みと建築家思考。

本が好きです。アートブックから小説まで。文字の組み合わせを目で追うと脳内で映像や音に変わり無限に広がっていくことにロマンを感じます。そしてペーパーバックや文庫本は、いつでもどこでも携帯できるのが素晴らしい。単なる紙の束だけど、そこに収められた無限の情報量を思うと感慨深く、電子書籍から距離を置いているのは、ページをめくる紙の本に深い思い入れがあるからだと思います。

小さい頃はパン屋さんになりたかったけど、小学生の頃にはもう「デザイナーになる」と決めていたので、以来迷う事なくデザイン一筋の人生を歩んでいます。両親がクリエイティブ職だったのでその影響もあると思いますが、紙の上で色や線を使って意図を形にして人に伝達する、という行為に感動し、そんな仕事がある事に興奮し、経験を積めば積むほど奥深さを知るデザイナーという生き方。他になりたいものを聞かれたら建築家か和菓子職人だけど、デザイナーという仕事を選んだのは私にとって人生最良の選択の一つ。